「風の大地」のススメ

中山栞里さんからパスを受けました、四年の小野敦也です。

自分のゴルフ観の根底を形成している漫画「風の大地」をご紹介します。最高の漫画です。

1.「風の大地」の概要  

「風の大地」は1990年に連載が開始し、今なお連載が続いている長寿ゴルフ漫画です。既刊は驚きの75巻。著者は「坂田塾」で有名な坂田信弘とかざま鋭二です。このコンビは「風の大地」以外にもいくつかの傑作ゴルフ漫画を生み出していますので、再び部員日記が回ってくる機会があれば紹介しようと思います。

この漫画では、研修生としては比較的遅い24歳からプロゴルファーを志した青年・沖田圭介が様々な人々と出会う中でゴルフの技術を高め、研修生生活を経てプロテストに合格、そしてメジャートーナメントで活躍するまでに成長していく様を描いています。

 

2.風の大地の魅力  

あらすじを省略したため、ここでは私が考える「風の大地」の魅力を紹介します。

      ①主人公・沖田のひたむきさ   

        …第一の魅力として、沖田のゴルフに対するひたむきさが挙げられます。出勤前には早朝から練習を行い、退勤後は日が暮れても練習を続け、手がボロボロになってもひたすら練習練習…。ひたむきな姿勢は読んでいてとても気持ちが良いです。作中、とある理由でプロゴルファーとしての活動から遠ざかりグリーンキーパーとして働いていた際にも、そのまじめな働きぶりから、他のコースから見学者が訪れるほどでした。ただ、ストーリーが進んでいくにつれ、初期には盛んだった感情表現が乏しくなっていくため、ネット上では「修行僧」などと呼ばれることがあります。 

      ②魅力的なキャラと死   

        …ストーリーを通じて魅力的なキャラクターが多く存在するという点も、「風の大地」の魅力の一つとして挙げられます。そして、そのキャラが魅力的であればあるほど、別れの悲しさがより一層引き立ちます。     

          例として、鹿沼CC所属の料理人・宇賀神さんとの別れをご紹介します。宇賀神さんは研修生としてプロゴルファーを目指していた過去を持つことから、兄貴分・理解者として沖田に対し多くの助言を与えてくれました。沖田のプロテスト合格を自身の夢だと語っており、ジャック・ニクラウスからもらった秘蔵のドライバーを沖田に譲り渡すほど沖田に期待を寄せていたのですが、沖田のプロテスト当日に癌によって死去し、ついぞ、プロゴルファー・沖田を目にすることができませんでした。沖田の活躍を誰よりも楽しみにしていたにもかかわらず、目にする前にこの世を去ることとなった宇賀神さんの無念さと、自身の活躍を宇賀神さんに見せることができなかった沖田の悔しさを思うと、私の胸は虚しさで一杯になります…。

 

3.私と「風の大地」 

私が「風の大地」と出会ったのは、大学1年生の6月です。古本屋でめぼしい漫画を探していた際に、たまたま手に取ったのが「風の大地」でした。初めは、「ゴルフ部に入ったことだし、ゴルフの漫画でも読んでみるか」と軽い気持ちで読み始めたのですが、読み進めていくうちに、上述の魅力から、この漫画にドップリとハマっていきました。当時の僕は、漫画を読むたびにゴルフ意欲がメラメラと燃え上がり、居てもたっても居られず大学の練習場に向い、下手くそなりに球を打ち続けていました。日が暮れるまで練習できると、沖田になれたような気がして心地が良かったです。その練習の日々の甲斐あって、夏の試合にはレギュラーとして試合に出場させていただき競技ゴルフの魅力に気づけたため、私のゴルフ人生の大きな転機になったことは間違いないです。それからは定期的に「風の大地」を読み返しているのですが、そのたび新たな発見があり、ストーリーの深さに感動します。

 

4.終わりに  

ここまで日記を読んでくださった方は、きっと「風の大地」を読んでくださると思います。ゴルフ意欲を燃え上がらせるのに最適ですし、人生に深みを持たせることもできるはずです。読んでいただけた際には、是非感想を語らいあいましょう。

また、私事ではありますが、「風の大地」の聖地である鹿沼CCでは未だにプレーできていないため、卒業までには栃木の地に赴き、「風の大地」の世界に思いを馳せてこようと思います。漫画内に実際に登場した「宇賀神さんのスタミナ・ステーキ・サンド」を食べるのも楽しみです。

長文にお付き合いいただきありがとうございました。次のパスは4年の千野悠河に回します。

4年 小野敦也